実行委員長あいさつ

実行委員長

 

 

実行委員長(山形大学大学院理工学研究科) 遠藤 昌敏

 

 

公益社団法人日本分析化学会は,分析に関する情報交換や技術研修を行うことで,学術および技術の進歩を図り,それを通じて科学,技術,文化の進展,人類の福祉に寄与することを目的としております。本会では,分析化学を共通基盤とした様々な専門分野の会員が,社会のニーズを踏まえつつ先端技術の進展に大きく寄与し,安心・安全な社会を維持するための基準作りや各分野の応用研究や技術の発展に貢献してきました。

今年は第81回分析化学討論会を,5月22日(土)・23日(日)の二日間にわたってオンラインで開催いたします。本来は山形大学米沢キャンパスで開催する予定でしたが,新型コロナウイルスの影響で現地での対面開催は困難と判断いたしました。1974年の第35回分析化学討論会以来の47年ぶりの山形県米沢市での開催であり,研究討論以外にも米沢牛を始めとする郷土料理や地酒を楽しんでいただこうと準備を進めておりましたが、またの機会にお譲りいたします。

第81回分析化学討論会の討論主題として,「ニューノーマルと分析化学」,「実行キーで始まる分析化学」,「エクスポゾームと分析化学」,「廃炉に貢献する分析化学」,「SDGsと分析化学」,「産業界に貢献する分析化学」の計 6 件を取り上げます。本討論会では,それぞれの分野で活躍中の研究者による依頼講演を含む主題討論講演,一般講演(口頭とポスター),テクノレビュー講演,若手ポスター講演など,277 件の最新の研究成果が報告されます。その中には,産学公の交流を目的とした産業界 R&D 紹介ポスター 12 件が含まれています。産業界 R&D 紹介ポスターは参加無料で公開しており,一般の学生や社会の皆様にもぜひご参加頂きたいと考えております。他にも協賛企業によるバナー広告を通して分析装置などに関する最新の情報が提供されます。また,昨年に引き続いて,高校生ポスター発表を行います。中学生を含む高校生が分析化学の面白さに触れて将来の道を選択する判断材料となることを望んでおります。

分析化学は理学,工学,バイオ・生物学,薬学,医学等の基礎学問と関係があり,応用分野として,各種製品の開発研究,工業製品や食品等の製造工程の管理,PCR検査を始めとする医療診断,環境分析,文化財の保存修復,鑑定鑑識など,多岐にわたる分野で利用されています。本討論会が様々な分野からの参加者の交流の場として役立ち,今後の分析化学について議論する場として活用されることを期待します。